Yoi Yoi Blog

創業100年 世界銘酒専門店 吉田屋のスタッフブログです。

秋酒・ひやおろしの季節がやってきましたよ!

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こんにちは、リリーです。
前回のブログで徹子さんが、「時間と心に余裕のある生活」の話をしていましたが、わたしにもそういう兆しがあるのか、最近久しぶりに読書を始めました。

そんな折、吉田屋には各蔵元さんより「ひやおろし」「秋酒」「秋あがり」の案内がジャンジャンとやってきています。
(おおそうか、季節はもう秋か……)と、オー・ヘンリー著作「最後の一葉」の病に伏せている女の子よろしくしっとりと窓の外を見てみましたが、燦々煌々と太陽が照りついているわスタッフが汗だくになりながら配達の品出しをしているわであんまり浸れませんでした。

ちなみに、オー・ヘンリーという名の熟成麦焼酎がありますよ。とても人気です。

わたしも、(おおそうか、季節はもう秋か……)なんてカッコつけてみましたが正直なところ、(え?! もう秋酒?! こんなクソ暑いのに?!)といった気持ちが先行しました。
でもちゃんと、まだ残暑厳しい八月末に発売される理由があるんですよね~。
教養や知識が増えると世の中に対する不満が少なくなって生きやすくなるという一文を最近インターネットで見ました。
本当にそう思います。出来ればムカつかずに生きたい。(おや、昔こんなタイトルの本を読んだ気がします)

ひやおろし、とは冬に搾る新酒(しぼりたて)を一回火入れ処理してずうっと涼しい蔵の中で貯蔵し、その涼しい蔵の温度と外の気温が大体同じになる秋ごろに二回目の火入れをしない冷やのまま卸すから、ひやおろしと言うそうです。
これではまだ残暑厳しい八月末に発売される理由にはなりませんが、日本には「節句」と呼ばれるものが年に五回あります。(五節句/ごせっく、と言うらしいです)

・人日 じんじつ (1月7日)
・上巳 じょうし (3月3日)
・端午 たんご (5月5日)
・七夕 しちせき (7月7日)
・重陽 ちょうよう (9月9日)

これが五節句。
ひやおろしと関係してくる節句は、9月9日の「重陽の節句」。別名「大人のひな祭り」。
これからの成長を祈るひな祭りに対して、大人のひな祭りはこれからの健康と長寿を祈る節句です。
そして、ひな祭りが「桃の節句」と言う別名を持っているのに対して、大人のひな祭りは「菊の節句」という別名を持っています。
この菊の花、中国では菊のエッセンスを飲むと長生きすると言う「菊水伝説」という言い伝えもあるくらい、健康や長寿のアイコンです。
大人・菊・健康・長寿……これらが重陽の節句のキーワード。
桃の節句・ひな祭りで雛あられやちらし寿司を食べるように、菊の節句・大人のひな祭りでは菊の花を浮かべたお酒を飲むのが風習となっています。この菊の花を浮かべたお酒を飲むと、健康かつ長寿でいられると言われています。

そう、重陽の節句では酒を飲むのです。

まあもちろん上巳の節句でもお酒を飲む人はたくさんいらっしゃるでしょうけど、私が言いたいのはそういう日本酒飲み音頭みたいな話じゃなくて、古くからの習わしで飲むんだよ~ということです。
因みに、日本酒飲み音頭では9月は台風が来るので酒が飲めることになっています。


バラグーダー - 日本全国酒飲み音頭

この曲からも推測出来るように、古くからの習わしではあるもののあんまり馴染みがないのが「重陽の節句」。
しかし日本に伝わる大事な風習には変わりないので、この重陽の節句にひやおろしを飲んでもらいたいという思いを込めて、まだまだ残暑厳しい八月末に蔵元はひやおろしを発売しているのだと思います。
…はい、私の勝手な推測です。
でも、お祭りごとやお祝い事は何かと準備に時間が掛かりますし、だからこそ余裕を持っておきたいじゃないですか。
そう思えば、この暑い夏にひやおろしが発売されるのも納得がいくってもんです。そうやって、自分のご機嫌をとっていくのも大人としての所作ですよね。
※重陽の節句を「ひやおろしの日」として発売日に設定している蔵元も多くおります。これは重陽の節句に飲んで頂きたいという、間違いなく蔵元の心遣いです。

そんなわけで、吉田屋にも秋酒、順次入荷してきております。
こんな時代だからこそ、健康と長寿を祈って重陽の節句のお祝いをしてみてはいかがでしょうか。